-
喉の違和感はストレスのサイン?矯正治療と自律神経の関係性
歯列矯正治療中に感じる喉の違和感の中には、物理的な刺激や乾燥だけでなく、「精神的なストレス」が関与しているケースも考えられます。特に、喉に何か詰まっているような、あるいは締め付けられるような、検査をしても明らかな異常が見つからない不快な感覚は、「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」や「ヒステリー球」などと呼ばれることもあり、自律神経の乱れが原因の一つとされています。歯列矯正治療は、長期間にわたるものであり、患者さんにとっては様々なストレス要因が存在します。まず、矯正装置の装着による「身体的な不快感」です。装置の違和感、痛み、食事の制限、話しにくさなどは、程度の差こそあれ、多くの人が経験するストレスです。また、「見た目への気遣い」も精神的な負担となることがあります。特に思春期や、人と接する機会の多い職業の方にとっては、装置が見えることへの抵抗感や、周囲の目が気になるというストレスを感じやすいかもしれません。さらに、「治療期間の長さや費用」に対する不安も、精神的なプレッシャーとなることがあります。「本当に綺麗になるのだろうか」「いつまでこの状態が続くのだろうか」といった漠然とした不安が、ストレスを増幅させることもあります。これらの様々なストレスが積み重なると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は、私たちの体の様々な機能を無意識のうちにコントロールしている神経で、交感神経(興奮・緊張モード)と副交感神経(リラックスモード)の二つがバランスを取り合って働いています。ストレス状態が続くと、交感神経が過剰に働き、体の様々な部分に緊張が生じます。喉の筋肉もこの影響を受けやすく、過度に収縮したり、感覚が過敏になったりすることで、違和感や異物感として感じられることがあるのです。もし、矯正治療中に原因不明の喉の違和感が続くようであれば、まずは担当の歯科医師に相談することが大切です。歯科的な問題がないかを確認してもらうとともに、ストレスが原因である可能性についても話し合ってみましょう。歯科医師から、リラックス方法やストレス対処法についてのアドバイスがもらえるかもしれません。また、症状が強い場合や、他の精神的な不調を伴う場合は、心療内科や精神科といった専門医の受診も検討しましょう。体のサインを見逃さず、適切なケアをすることが大切です。