歯列矯正治療中に感じる喉の違和感の原因が、装着している矯正装置にあると考えられる場合、装置の種類や状況に応じた対処法があります。しかし、自己判断での対処は症状を悪化させる可能性もあるため、まずは担当の歯科医師に相談することが大前提です。まず、歯の裏側に装置を取り付ける「裏側矯正(舌側矯正)」の場合、装置が舌や喉に近い部分に当たり、異物感や刺激を感じやすいことがあります。この場合、歯科医師に相談すると、装置の鋭利な部分を研磨してもらったり、装置の周りに保護用のワックスを塗布してもらったりすることで、刺激を和らげることができる場合があります。また、慣れるまでは、意識して舌の位置を少し前に置くようにしたり、柔らかい食事を心がけたりするのも有効かもしれません。次に、奥歯に装着する「バンド」や、ワイヤーの末端が喉の奥の粘膜に当たっている場合も、イガイガ感や咳の原因になることがあります。これも歯科医師に伝えれば、バンドの調整やワイヤーのカット、保護材の塗布などで対応してもらえることがほとんどです。自分でワイヤーを切ろうとしたり、無理に装置をいじったりするのは絶対にやめましょう。取り外し式の「マウスピース型矯正装置」の場合、マウスピースの縁が喉の奥の粘膜に当たって違和感を覚えることがあります。この場合も、歯科医師に相談すれば、マウスピースの縁をわずかに研磨調整してもらうことで改善することがあります。また、新しいマウスピースに交換した直後は、一時的に唾液の分泌が増えたり、逆に飲み込みにくさを感じたりして、それが喉の違和感に繋がることもあります。これは徐々に慣れていくことが多いですが、症状が続く場合は相談しましょう。装置の種類に関わらず、装置に慣れるまでの期間は、こまめに水分を補給し、喉の乾燥を防ぐことが大切です。うがい薬やのど飴なども、症状緩和に役立つ場合がありますが、糖分の多いものは虫歯のリスクを高めるため注意が必要です。最も重要なのは、喉の違和感が我慢できないほど強い場合や、長期間続く場合、あるいは呼吸困難や嚥下困難など、他の深刻な症状を伴う場合は、速やかに歯科医師に連絡し、指示を仰ぐことです。場合によっては、耳鼻咽喉科など他の専門医の受診が必要となることもあります。