歯列矯正治療中にアルバイトをしていると、予期せぬ装置のトラブルに見舞われることがあるかもしれません。ブラケットが外れた、ワイヤーが飛び出して口内を刺激する、ゴムが切れたなど、もしもの時に慌てないためには、事前に応急処置の方法を知っておき、必要なものを準備しておくことが大切です。まず、最も多いトラブルの一つが「ブラケットの脱離」です。硬いものを食べたり、何かにぶつかったりした衝撃で、歯に接着されているブラケットが外れてしまうことがあります。もしブラケットが外れても、ワイヤーに繋がったまま口の中に残っている場合は、無理に取ろうとせず、そのままにしておき、できるだけ早く歯科医院に連絡しましょう。もし完全に取れてしまった場合は、小さな袋などに入れて保管し、受診時に持参します。外れたブラケットが口内を刺激する場合は、歯科医院でもらえる矯正用ワックスで覆うと痛みを和らげることができます。次に、「ワイヤーの突出」もよくあるトラブルです。歯が動いてくると、奥歯のワイヤーの末端が伸びてきて、頬の内側や歯茎に刺さって痛みを生じることがあります。この場合も、まずは矯正用ワックスで突出部分を覆い、刺激を軽減します。ワックスがない場合は、一時的にガムなどで代用することもできますが、これはあくまで応急処置です。絶対に自分でワイヤーを切ろうとしたり、曲げようとしたりしないでください。口内を傷つけたり、装置全体に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。速やかに歯科医院に連絡し、調整してもらいましょう。また、「エラスティックゴム(顎間ゴム)が切れたり、なくなったりした場合」は、歯科医師から予備のゴムをもらっているはずなので、自分で新しいものに交換します。もし予備がない場合は、歯科医院に連絡して指示を仰ぎましょう。これらの応急処置に必要なものとして、「矯正用ワックス」「小さな鏡」「清潔なピンセット(ワックスをつまむため)」「歯科医院の連絡先を控えたメモ」などを、普段からアルバイト先に持っていくポーチなどに入れておくと安心です。そして、どんなトラブルが発生した場合でも、最も重要なのは自己判断で放置したり、無理な対処をしたりせず、必ず担当の歯科医師に連絡し、指示を受けることです。早期に適切な処置をしてもらうことが、治療計画の遅れを防ぎ、安全に治療を続けるために不可欠です。