歯列矯正の最終段階で始まるゴムかけ。上下の歯に跨ってゴムを装着するため、食事や会話の際に多少の不便さや注意点が出てくることがあります。しかし、いくつかのコツを押さえておけば、比較的快適にこの期間を過ごすことが可能です。まず、食事についてですが、多くの歯科医師は「食事の際にはゴムを外しても良い」と指示します。ゴムをつけたまま食事をすると、ゴムが切れたり、食べ物が絡まったり、衛生的にも良くありません。ただし、食事が終わったら、歯磨きをしてすぐに新しいゴムを装着し直すことが重要です。ゴムを外している時間が長くなればなるほど、治療効果が薄れてしまいます。食事の内容については、ゴムかけをしているからといって、極端に制限する必要はありませんが、あまりにも硬いものや粘着性の高いものは、歯や装置に負担をかける可能性があるため、避けた方が無難でしょう。また、ゴムかけによって特定の歯に力がかかり、一時的に噛むと痛みを感じる場合は、柔らかく調理されたものや、小さくカットされたものを選ぶなど、工夫をすると良いでしょう。次に、会話についてです。ゴムかけを始めたばかりの頃は、ゴムの存在感や、舌や唇の動きがわずかに制限されることで、話しにくさを感じることがあります。特に、サ行やタ行、ラ行など、舌の動きが重要な音は発音しにくいと感じるかもしれません。しかし、これは一時的なもので、数日から数週間で徐々に慣れていくことがほとんどです。早く慣れるためには、意識してゆっくりと、はっきりと話すように心がけましょう。焦って早口で話そうとすると、余計に舌がもつれたり、発音が不明瞭になったりしがちです。また、積極的に会話をすることで、舌や唇がゴムのある状態に早く適応するのを助けます。鏡を見ながら口の動きを確認したり、発音しにくい音を練習したりするのも効果的です。唾液が溜まりやすく、それが話しにくさに繋がる場合は、こまめに水分を摂ったり、うがいをしたりするのも良いでしょう。その他、快適に過ごすためのコツとしては、常に予備のゴムとゴムを掛けるためのツールを持ち歩くことです。外出先でゴムが切れたり外れたりしても、すぐに対処できるようにしておくと安心です。また、口内炎ができやすい場合は、歯科医師に相談して保護用のワックスをもらったり、口内炎治療薬を準備しておいたりすると良いでしょう。