歯列矯正治療中、装置の違和感や痛み、あるいは「もう歯並びは綺麗になったから大丈夫だろう」という自己判断から、自分で矯正装置を外してしまいたいという衝動に駆られる方が、もしかしたらいるかもしれません。しかし、これは絶対にやってはいけない非常に危険な行為です。自分で矯正装置を外そうとすると、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。まず、最も懸念されるのは、「歯や歯周組織へのダメージ」です。矯正装置は、専用の接着剤で歯に強固に固定されています。これを無理に剥がそうとすると、歯の表面のエナメル質を傷つけたり、最悪の場合、歯が欠けたり割れたりする可能性があります。また、歯根や歯周組織に予期せぬ強い力がかかり、歯がグラグラになったり、歯肉を傷つけたりする危険性もあります。次に、「治療計画の大幅な狂い」です。矯正治療は、歯科医師が精密な計算と予測に基づいて立てた治療計画に沿って進められています。途中で装置を勝手に外してしまうと、歯が計画通りに動かなくなり、それまでの治療が無駄になってしまうばかりか、かえって歯並びや噛み合わせが悪化してしまうこともあります。再治療が必要になった場合、さらに長い期間と追加の費用がかかることになります。また、「後戻りのリスク」も非常に高まります。たとえ歯並びがある程度整ったように見えても、まだ歯の位置は不安定な状態です。歯科医師の判断なしに装置を外してしまうと、歯は急速に元の位置に戻ろうとし、後戻りが起こってしまいます。さらに、外した装置の破片を誤って飲み込んでしまったり、口の中を傷つけたりする危険性も考えられます。もし、何らかの理由で装置が外れてしまった場合や、どうしても我慢できない痛みや不快感がある場合は、自分で対処しようとせず、必ず速やかに治療を受けている歯科医院に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。歯科医師が適切な処置を行ってくれます。歯列矯正は、専門的な知識と技術を持った歯科医師の管理下で行われる医療行為です。自己判断での行動は避け、最後まで歯科医師を信頼し、指示に従うことが、安全で確実な治療結果を得るための唯一の方法です。
矯正装置を自分で外すのは絶対NG!その危険性と正しい対処法