-
矯正中の食事で変わるあなたの未来の顔
歯列矯正中の悩みのひとつに「食事」があります。装置に慣れるまでの痛みや、食べ物が挟まる不快感から、どうしてもお粥やヨーグルト、うどんといった柔らかいものばかりを選んでしまいがちです。しかし、この「柔らかいもの中心の食生活」が、実は矯正後の「老け顔」を招く一因になっている可能性があることをご存知でしょうか。私たちの顔、特にフェイスラインの印象を大きく左右しているのが、モノを噛むときに使う「咀嚼筋」です。咬筋や側頭筋といったこれらの筋肉は、日々の食事でしっかりと使われることで、その厚みやハリが維持されています。しかし、矯正中の痛みを理由に、長期間にわたって咀嚼筋を使う機会が減ってしまうと、筋肉は運動不足の状態になり、徐々に痩せていってしまいます。これを「廃用性萎縮」と呼びます。身体を動かさなければ腕や足の筋肉が落ちるのと全く同じ原理です。この咀嚼筋、特に頬のあたりにある咬筋が痩せてしまうと、顔のボリュームが減り、頬がこけて見えてしまいます。これが、疲れた印象や老けた印象につながる「頬コケ」の正体なのです。もちろん、調整直後など痛みが強いときに無理をする必要は全くありません。しかし、痛みが和らいでいる期間は、意識的に筋肉を使う工夫をすることが、未来の自分の顔への投資になります。例えば、肉や野菜を少し大きめに切って、奥歯でしっかりと噛む回数を増やす。柔らかいパンより、少し歯ごたえのあるフランスパンを選んでみる。食後にキシリトールガムを数分間噛む習慣をつける。そんなささやかな意識だけでも、咀嚼筋の衰えを防ぐのに大きな効果があります。歯列矯正は、単に歯を動かすだけの治療ではありません。治療期間中の生活習慣、特に食生活が、最終的な顔貌の仕上がりにまで影響を及ぼす可能性があるのです。美しい歯並びと、若々しく健康的なフェイスラインの両方を手に入れるために、今日からの食事を少しだけ見直してみませんか。