歯列矯正中の最大の敵、カレー。しかし、日本人にとってカレーはもはや国民食。数ヶ月、あるいは数年間も完全に断つのは、カレー好きにとってはあまりにも過酷な試練です。そこで今回は、矯正中でもカレーを楽しむための、いくつかの「抜け道」や工夫をご紹介します。まず考えたいのが、「カレーの選び方」です。カレーの着色の元凶は、黄色いスパイスであるターメリックです。つまり、ターメリックを使っていなければ、着色のリスクは大幅に減少します。例えば、生クリームやココナッツミルクをベースにした「白いカレー」や、ほうれん草をたっぷり使った緑色の「サグカレー」、あるいはターメリック不使用のスパイスを謳ったレトルトカレーなどを選ぶのが賢い選択です。見た目はカレーでも、中身が違えばリスクは回避できます。次に重要なのが、「食べるタイミング」です。これは多くの矯正経験者が実践する裏ワザですが、「ワイヤー調整日の前日または直前」に食べるという方法があります。どうせ次の日には着色したゴムを新しいものに交換してもらえるのだから、その直前なら心置きなく食べられる、という理屈です。これは非常に有効な戦略ですが、ゴムは交換できてもブラケット周りの接着剤などにわずかに色が残る可能性はゼロではないため、過信は禁物です。食べ方にも工夫の余地があります。カレーライスのようにご飯とルーを混ぜて食べるのではなく、カレースープのような形態のものを選び、スプーンで直接喉の奥に流し込むようにして、できるだけ歯や装置に触れないように食べる、という涙ぐましい努力をする人もいます。また、カレーうどんの場合は、麺をすすらずに一本ずつ箸で口の奥へ運ぶ、といった工夫も考えられます。これらの方法は、矯正治療という不自由な期間を少しでも楽しく乗り切るための、先人たちの知恵の結晶です。もちろん、最も安全なのは食べないことですが、どうしても我慢できない時は、これらの抜け道を参考に、自己責任の上で、賢くカレーと付き合ってみてはいかがでしょうか。